目視点検
目視点検とは
塩害に特徴的な錆汁、ひび割れ
構造物の調査・点検において、目視点検は最も基本的な方法です。
目視点検を行うことで、構造物に見られる特徴的な変状を見極め、また、写真や詳細な調査結果からは判りにくい、その構造物が置かれている環境や利用状況などを知ることにもつながります。
これによって、劣化や損傷の原因をある程度推定でき、また詳細調査の結果を踏まえ、最終的な判定を下す際にも重要な根拠となります。
医者が患者を見ずして診断を下せないのと同様に、コンクリート構造物も必ず一度は目視点検を行うことが重要です。
ASRに特徴的な亀甲状ひび割れ
なお、目視点検では、簡易な器具を用いた調査、例えばクラックスケールを用いたひび割れ幅の測定や、点検ハンマーを用いた打音検査などを含めます。
※ショーボンド建設では、これまでに非常に多くのコンクリート構造物の調査・診断実績を持っています。調査計画立案から実際の調査、診断まで、お気軽にお問い合わせください。
コンクリート強度測定
コンクリート強度の測定は、土木関係の試験の中で最も基本的なものの1つで、非破壊で直接構造物で測定する場合、構造物からサンプルを採取して試験する場合、構造物を部分的に破壊して行う場合などさまざまな測定方法があります。以下にコンクリート強度測定の代表的なものを示します。
コンクリートコアによる圧縮強度・静弾性係数
この方法は構造物からコンクリートコア試験体を採取し、試験室で圧縮強度や静弾性係数を測定します。コアの採取に関してはJIS A 1107、試験方法に関してはJIS A 1108に準じて行い、破壊に到るまでの最大荷重を試験体の断面積で除したものを圧縮強度とします。
また静弾性係数は試験体にひずみゲージなどを取り付け、弾性域での応力度-ひずみ度関係から算出します。
コアの採取に多少の手間を要しますが、最もポピュラーで信頼性の高い方法です。
反発硬度法による圧縮強度試験
反発硬度法は、コンクリートの圧縮強度を推定する方法の1つで、テストハンマーでコンクリート表面を打撃し、その反発硬度から圧縮強度を推定する方法です。非破壊で、かつ現場で簡単に圧縮強度を推定できる汎用性の高い方法で、ショーボンド建設では構造物の調査・診断方法として頻繁に採用しています。
反発硬度法は、非破壊で推定でき、装置が簡単、軽量で、現場での作業性に優れるという特徴があり、詳細調査前の予備調査や現場コアの採取が困難な場合、多くの測点で調査したい場合などに有効です。
プルオフ法による引張強度試験
プルオフ法は、コンクリート表面に鋼製付着子を接着し、この付着子を引張ってコンクリートを破壊させたときの強度を測る方法で、コンクリートの引張強度試験の一つです。この方法は、構造物を部分的に破壊する試験で、コンクリート強度を測るだけでなく、塗膜などの表面被覆が十分にコンクリートと付着していることを確認するための試験としても用いられます。
試験や解析の方法も簡易で、装置も携帯型のものが多く、コンクリートの引張強度を簡単に測定できる試験方法です。
※ショーボンド建設では、これまでに非常に多くのコンクリート構造物の調査・診断実績を有しています。調査計画立案から実際の調査、診断まで、お気軽にお問い合わせください。
かぶり厚さ
鉄筋コンクリートにとってかぶりとは、本来は鉄筋とコンクリートが十分一体化して働くために必要な断面であると考えられます。しかし、近年、塩害や中性化などの劣化が問題視されるにしたがい、鉄筋を腐食させる劣化因子の遮断層としての働きが重要になってきています。
かぶり厚さを十分に保っていることは、劣化環境にあるコンクリートの耐久性にとって非常に重要であり、かぶり厚さの調査は、劣化の進行や寿命を考慮する上で極めて重要です。
はつり検査
はつり調査では、実際にかぶりコンクリートをはつり、鉄筋を露出させた上でかぶり厚さを測定する方法です。
部分的な破壊調査となりますが、最も確実な方法であり、鉄筋のかぶりを正確に測定できると同時に、実際の鉄筋腐食程度を観察でき、また自然電位や分極抵抗測定などを行う際には、はつり部分を利用して全体の計測を行うことができるため、汎用性の高い手法です。
電磁波レーダー法
電磁波レーダー法は、コンクリート中の鉄筋や埋設物などを探知する方法です。この方法は、コンクリート中に送信された電磁波が、性状の異なる物質の界面で反射されることを利用したもので、反射された電磁波を受信することで鉄筋や空洞を探知し、さらに受信までに要した時間からこれらの位置を推定できます。
ただし、この手法でかぶり厚さを測定する場合、コンクリートの性状や状態によって測定値が異なることがあり、正確な値を得るには適しません。あくまで参考程度に使用することが望ましいといえます。
電磁誘導法
電磁誘導法は、金属探知機にも使用される方法で、磁性を帯びた金属に反応し、これを探知する方法です。具体的には、試験プローブの励磁コイルに交流電流を流し、交流磁場を発生させます。そのとき磁場内に磁性体が存在すると、磁性体に電流が流れ、さらに磁場が形成されます。この磁場の変化によってプローブ内の検出コイルに電流が流れ、これを検知、解析することで鉄筋位置やかぶり厚さを計測できます。
この方法は、電磁波レーダーと同様に、主に非破壊で鉄筋位置を推定する場合に良く用いられます。かぶり厚さを測定する場合、かぶり厚さが小さい場合にはある程度の精度に信頼を置けますが、かぶり厚さが大きくなるにつれて誤差も大きくなります。また鉄筋ピッチが小さい場合にも正確な調査ができない場合があるので、はつり調査等と組み合わせて用いることが望ましいといえます。
※その他、調査計画立案から調査、診断まで、お気軽にお問い合わせください。
コンクリートの配合・微細構造・化学成分
配合推定
コンクリートの配合を調べる方法は、セメント協会法やICP法などいくつかありますが、いずれの場合でもある程度の精度でW/Cや骨材量などを推定できます。
コンクリートの配合推定は、例えば圧縮強度の小さいコンクリートで、圧縮強度が配合不良により生じたものか、もしくは劣化など経年後の変状によって生じたものかを判断したり、鉄筋が腐食しているコンクリートに対し、中性化速度や塩分拡散係数などとの整合を調べたりする場合に有意な情報を与えてくれます。
走査電子顕微鏡(SEM)
走査電子顕微鏡(SEM)は、電子線を利用した非常に高精度の顕微鏡です。
電子線マイクロアナライザー(EPMA)
電子線マイクロアナライザー(EPMA)は、特性X線を利用した化学成分分析装置です。
※その他、調査計画立案から調査、診断まで、お気軽にお問い合わせください。
走査電子顕微鏡:SEM(電子顕微鏡)
走査電子顕微鏡(SEM)とは
走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)は、顕微鏡の一種です。通常の光学顕微鏡と異なり、電子線をサンプルに照射し、跳ね返った二次電子や反射電子を解析することで表面の画像に置き換えるものです。通常の光学顕微鏡の分解能を超えた倍率で、立体的に表面観察ができる、非常に優れた技術です。ショーボンド建設では、補修工学研究所にEPMA・SEMの両目的で使用できる装置を配置しており、微細構造の分析などに活用しています。
特長・適用
SEMは以下の特長を有する調査法です。
1分解能に優れ、非常に高倍率での分析が可能。
2結果が立体的な映像として記録できます。
一方、適用に関しては以下の注意点があります。
- 真空状態での測定となるため、真空で形態の変化する物質には適用できません。
- 高電圧の電子線を照射するため、試料によってはダメージを受ける場合があります。
分析方法
SEMは、以下の手順で行います。
1試料の採取
試験体、または対象構造物から、平滑な試験片を採取します。
2試験片の乾燥
試験片をデシケータなどで十分乾燥させます。
3試験片の処理
金属蒸着処理を行います。
4分析
試験台に試験片を載せ、分析を行います。
調査結果の判定方法
SEMによる分析結果は、詳細な立体画像として記録されます。 目的により異なりますが、劣化要因物質を特定する場合には、代表的な物質の例と比較して診断します。 いずれにせよ、画像として結果が出ますので、目的に応じた判定が可能です。
電子線マイクロアナライザー:EPMA法(化学成分分析)
EPMA法とは
電子線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)法は、試料の表面に存在する物質(元素)を判別する方法の1つです。 微量な物質の面的な分布を調べるのに有効です。ショーボンド建設では、補修工学研究所にEPMA分析装置を配置し、劣化原因の推定や劣化因子の分布調査などに活用しています。
特長・適用
EPMA法は以下の特長を有する調査法です。
1試料の表面に存在するあらゆる物質(元素)の有無を分析できる。
2分析した結果は、面的なマップ図として表現できる。
非常に幅広く活用される技術ですが、特に以下のような場合に有効です。
1塩害での塩素、下水道劣化での硫黄など、コンクリート中への劣化因子の侵入状況の把握。
2補修による劣化因子遮断の状態(補修効果)を把握。
分析方法
EPMA法は、以下の手順で行います。
1試料の採取
試験体、または対象構造物から、平滑な試験片を採取します。
2試験片の処理
試験片表面の平滑度が重要であり、表面の研磨、金属蒸着などの処理を行います。
3分析
目的とする元素を決定し、EPMA分析装置で分析を行います。なお、試験片は再利用可能で、同じ試験片を用いて複数の元素を調べることもできます。
調査結果の判定方法
EPMA法による分析結果は、対象物質(元素)の量によって、濃度分布がマップ図として表示されます。 定量的な数値は若干あいまいで、物質の分布を連続的な画像として把握し、劣化原因を推定したり劣化因子の侵入状況を判断します。
鉄筋腐食調査
鉄筋腐食に関する調査は多種あります。直接鉄筋の腐食程度を調べるものから、鉄筋腐食の可能性、鉄筋腐食速度を測るものまで、ショーボンド建設の調査技術の一部を紹介いたします。
中性化深さ調査
中性化(炭酸化)が鉄筋近傍まで進行すると、鉄筋の不働体皮膜が破壊され、鉄筋腐食が始まります。中性化深さ調査では、中性化がどの程度まで進行しているのかを調べ、鉄筋腐食の可能性を調べる方法です。具体的には、構造物の一部をはつった断面、コアの割裂断面などにフェノールフタレイン1%エタノール溶液を吹き付け、赤変しない部分を中性化域とする方法です。フェノールフタレインはpH8.2~10.0以上のアルカリ域で赤変する性状を有しているため、赤変しない箇所は中性化していると判断できます。
また、得られた中性化深さから中性化速度を推定し、将来的な予測も可能です。
いずれの場合でも部分的な破壊試験となりますが、非常に汎用性の高い手法です。
塩化物イオン含有量調査
塩化物イオン含有量調査は、塩分による鉄筋腐食の可能性を調べる調査方法です。
詳しくは、ここをご覧くださいください。
鉄筋腐食量調査
鉄筋腐食量調査は、大きく分けて2通りあります。一つは、かぶりコンクリートをはつり、鉄筋を露出させた上で、目視で鉄筋腐食状況を観察し、腐食が著しい場合はノギスなどで断面減少率を測定する方法です。
もう一つの方法は、鉄筋のサンプルを採取し、10%クエン酸水素2アンモニウム溶液で錆を除去し、鉄筋の標準的な重量と比較した重量減を調べる方法です。
いずれも破壊検査ですが、特に重量減を測る場合は鉄筋を切断する必要があるため、十分注意する必要があります。
自然電位測定
自然電位測定とは、コンクリート中の鉄筋が置かれている環境によって、鉄筋表面の電位が変化することを利用し、鉄筋表面の電位を測ることによって鉄筋腐食の可能性を調べる方法です。
自然電位の測定は、照合電極と呼ばれる電極と、入力抵抗の大きい電位差計の2つで行い、非常に簡易な装置で測定ができます。なお、鉄筋と電気的な導通をとる箇所で一部はつりを要する部分的な破壊試験ですが、一部のはつりで広範囲での測定が可能です。
照合電極の種類によって値が変化すること、鉄筋腐食以外にも電位が変化する要因が存在すること、得られた値が必ずしも鉄筋の腐食を表していないことなど、正しい結果を得るには若干の専門知識を要する方法ですが、簡易で有効な腐食診断方法であるといえます。
分極抵抗測定
分極抵抗測定は、鉄筋の腐食速度によって、鉄筋表面の電気抵抗が変化することを利用し、鉄筋の腐食速度を推定する方法です。
現在、交流インピーダンス法が一般的ですが、他にもいくつかの測定方法があります。
自然電位測定と同様の手法で一部のかぶりをはつり、鉄筋と導通をとりながらコンクリート表面にセンサーを当てて測定を行います。鉄筋の腐食速度という非常に有意な調査結果を得られますが、分極抵抗測定法は現在も発展途上の技術です。
ひび割れ・はく離・空洞調査
コンクリート構造物は、初期欠陥、劣化、損傷などにより、ひび割れやはく離、空洞などを生じることがあります。これらは構造物の性能上の問題となったり、耐久性上の問題となったりする場合があります。また、劣化や損傷によって引き起こされた場合、これらを調べることで劣化、損傷の原因や進行程度を把握することにつながります。
一部は目視点検と重なる調査項目ですが、目視点検と同様、最も基礎的で重要な調査の一つです。以下にショーボンド建設が行っているひび割れ・はく離・空洞調査の一例を示します。
ひび割れ幅調査
ひび割れはコンクリート表面に現れる変状のうち、最も一般的なものです。ひび割れの幅を測定することで、劣化や損傷の程度、場合によっては劣化原因を推定します。また、ひび割れ幅は、日本コンクリート工学協会の「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針」にも示されるように、構造物の耐久性を判断する指標ともなります。
ひび割れ幅を測定する場合、写真に示すようなクラックスケールを用いるのが最も簡易かつ一般的な方法です。
打音検査
打音検査は、コンクリートの浮き、はく離、表面近傍の空洞などを調べるために用いられる方法です。具体的には、点検ハンマーでコンクリート表面を叩く、もしくは擦る際に生じる音を聞き分け、前述の変状を調べます。ある程度の経験を要する方法ですが、調査方法が簡易であるため、目視点検の際に補助的に用いられることが多い手法です。
弾性波調査法
ひび割れの深さを調べる場合、弾性波調査法の中で、特に超音波法と呼ばれるものを採用します。発振子から超音波を発し、それを受振子が感知するまでの時間を計測するものですが、ひび割れがある場合、超音波がひび割れを迂回して進むために、健全部と比べて受振までに時間がかかります。この時間差からひび割れ深さを推定する方法です。ひび割れを跨ぐように発振子と受振子を設置して計測します。非破壊で簡易に計測できますが、鉄筋がひび割れ深さより浅い位置にある場合、超音波が鉄筋内を移動することで正確な診断ができないことがあるため、注意が必要です。
電磁波レーダー法
電磁波レーダー法は、コンクリート中の鉄筋や埋設物などを探知する方法です。この方法は、コンクリート中に送信された電磁波が、性状の異なる物質の界面で反射されることを利用したもので、反射された電磁波を受信することで鉄筋や空洞を探知し、さらに受信までに要した時間からこれらの位置を推定できます。
この手法は、非破壊である程度鉄筋位置を推定できることから、例えば鉄筋ピッチを調べたり、または、はつり調査やコア採取など、事前に鉄筋位置を把握することが必要な調査を行う前調査として頻繁に行われます。
ボアホールカメラを用いた空洞調査
トンネルや護岸などでは、背面に空洞が発生する可能性があり、空洞の発生が構造物に対して重大な欠陥となる場合があります。そのような場合、空洞内を観察し、空洞の大きさや内部状況を把握することが重要となってきます。空洞内を直接観察する方法として、ボアホールカメラを用いる方法があります。
ショーボンド建設で開発したボアホールカメラは、暗所でも十分な視界が得られるように赤外線カメラを用いたビデオカメラで、画像を連続的に記録できるようになっています。
ボアホールカメラを使用する際、構造物にコア削孔を行ってカメラの挿入孔とします。この孔は、その後注入などで対策を行う際の注入孔となるため、非破壊に近い部分的破壊調査とすることができます。
空洞内部の様子
アルカリ骨材反応
アルカリ骨材反応に関する調査には、いくつかの独特な方法があります。 ここでは、アルカリ骨材反応に対するショーボンド建設の調査技術の一部を紹介いたします。
圧縮強度・静弾性係数
アルカリ骨材反応が進行すると、コンクリートのモルタル部分、場合によっては骨材に到るまで、微細なひび割れが発生します。このため、コンクリートの圧縮性状にも影響を及ぼし、特徴的な傾向が表れてきます。
明確な基準などはありませんが、ショーボンド建設のこれまでの実績から、アルカリ骨材反応が進行したコンクリートでは、圧縮強度はさほどではありませんが、静弾性係数が大きく低下することがわかっています。
あくまで補助的な方法ですが、劣化の原因がアルカリ骨材反応であるかどうかの可能性を、圧縮強度、静弾性係数を測定することで把握することができると考えています。
残存膨張量試験
アルカリ骨材反応に必要な骨材はコンクリート中に多く存在し、水は外部からも供給されますが、ナトリウムやカリウムなどのアルカリはコンクリート中に限られた量しか含まれないとの考えから、アルカリ骨材反応はある程度の膨張量で収束すると考えることができます。
残存膨張量試験は、構造物から抜き出したサンプルに対して膨張反応を加熱・湿潤により促進し、将来的に起こりうる膨張を短期間で起こし、今後の膨張の可能性を調べるものです。
試験方法(養生方法)にはいくつかあり、それぞれ判定基準も異なりますが、ショーボンド建設ではJCI法(JCI-DD2)、デンマーク法を主に行っています。
※その他、調査計画立案から調査、診断まで、お気軽にお問い合わせください。
塩分拡散予測手法(塩分分析による補修工法の選定)
塩分拡散予測手法とは
鉄筋コンクリート中の鉄筋は、塩分(塩化物イオン)の存在によって腐食が早まります。塩分拡散予測手法は、構造物に含まれる塩分量を調べ、その結果から将来的にどのように塩分分布が変化するのか、それが鉄筋に対してどのように影響するのかを判断する手法です。
また、ショーボンド建設独自の技術として、補修を行ったときに塩分分布がどのように変化するのか、または鉄筋を腐食から守るためにはどの程度の補修を行う必要があるのかを判断する手法も確立しています。
特長・適用
塩分拡散予測手法は以下の特長を持っています。
1現状の塩分分布から、将来の塩分分布を予測できます。
2いつ頃に鉄筋が腐食し始める(腐食し始めた)のかを予測、推定できます。
3どのような補修を行うことにより、腐食を抑制できるのかを判断できます。
したがって、塩分拡散予測手法は、塩害環境にある構造物の塩害による鉄筋腐食を抑制したい場合に有効な方法です。
調査方法
塩分拡散予測手法は以下の特長を持っています。
1構造物からの試料採取
コア法やドリル法などで、構造物からコンクリート試料を採取します(塩化物イオン含有量調査)。
2試料の分析
電位差滴定法により、試料中の塩分分布を調べます(塩化物イオン含有量調査)。
3拡散係数、表面塩化物イオン濃度の推定
現状の塩分分布から、以下のFickの拡散則にしたがって拡散係数D(cm²/s)とコンクリート表面での塩化物イオン濃度Co(kg/㎥)を計算します。
4将来的な塩分分布の推定
得られたDとCoを用いて、将来的な塩分分布を予測します。このとき同時に、鉄筋腐食が始まる時期を計算します。
5補修工法の選定
コンピュータプログラムを使用し、表面被覆、断面修復などの補修を行ったときの塩分分布を調べます。塩害による劣化メカニズムを考慮しながら、最適な補修工法、補修の規模、LCCなど決定します。
調査結果の判定方法
土木学会などで示されているとおり、塩分の拡散予測手法については広く知られた既往の技術です。しかし、計算過程は複雑で、一般的にはコンピュータプログラムを用いて解析を進めます。
ショーボンド建設では独自のプログラムを有しており、通常の将来的な塩分分布の予測だけにとどまらず、補修を行ったときの分布を計算により把握する技術を有しています。
また、Fickの拡散方程式を用いた方法は、原則として一次元での方法です。
このような補修工法選定事例の一部を紹介します。
※ショーボンド建設が所有する、塩分分析プログラムは市販いたしておりません。
ただし、本プログラムを使用した補修設計支援は行いますので、お気軽にお問い合わせください。